2014-09-16

○ 今年の夏 ○






「富士日記」 武田百合子著


愛読書のひとつです。


私の読書は、好きな本を何回も読み直すスタイル。
だから好きな作家、好きな本の数はあまり多くない方です。


しかも、文庫本はお風呂でも読むので。。。
滲んで、膨らんじゃってます ^^;



新刊本はカバーは外さず付けてますが、
文庫本はカバーを外した姿が好きなので、
いつも外しちゃうんですね。


この富士日記は、今回で5回目くらい。
回数覚えている位だから、まだまだ少ない方ですね〜。


淡々と綴られる山荘での日記。


何も奇をてらった表現や言葉はなく、
富士の裾野での山小屋での日々を、家族との生活を、
見たものそのままに、自分が感じたままに、自分だけの言葉で記している日記。


そんな武田百合子の文章は、
読む度に気持ちを落ち着かせてくれます。


昭和39年から昭和51年まで。
私が生まれる前から、そして私が幼い頃。


文章の合間から、
日々の生活の中で慈しむ家族への愛情、
昭和の懐かしい情景が伝わってきて。。。
また同じ言葉ですが。。。
私の気持ちを落ち着かせてくれる、本当に大切な本です。


そして今年の夏、この富士日記に沢山助けられました。


読み返し始めて少し経った頃、
私事なのですが、
入院中だった父が旅立ちました。


高齢ではありましたが、
入院のきっかけが事故だったため、
前日まで仕事に行っていた元気な姿から、
持病による長い入院生活に耐えて、
怪我や病気に立ち向かう姿は、家族にとって本当に切なくて。


でも、だからこそしっかりと父の側にいてあげなければと、
時間が許す限り、父の許に通う2年半でした。


そんな父が、殆ど言葉を発する事は難しかったのに、
亡くなる少し前、久し振りに発語があり、
私に言ったのは「がんばれ」という言葉でした。


思い返すと、
いつもいつも、どんな時も、
私の事を「がんばれよ」と言って励ましてくれた父でした。


私は自他共に認める父親っ子で、
父は私にとって最高の、最愛の父で。。。


なので、今はまだ父の不在に寂しい気持ちが一杯で、
そして、2年半の病院通いの日々からの生活サイクルの変化が、
現実として受け止めきれずにいる部分もあります。


でも父からの、この「がんばれ」という言葉。
この言葉をしっかりと思い出して、父の思いを受け止めて、
私らしく明るく進んでいかなきゃ、父が悲しみますね。。。


そして、きっと父が一番に心配していたであろう母の事、
私とはまた違った寂しい気持ちを抱いている母を、
引き続きよく見て、支えていかないと、父が心配しますね。。。


きっと、父が言い残した私への「がんばれ」には、
母の事も入っていた筈なので。
とっても気が強い反面、意外にも弱い部分がある母なのですね。
父とは違って、母とは喧嘩も多いですが〜、頑張ります。


努力家だけど、破天荒でもあった父。
でも家族が大好きで、とりわけ娘には甘かった父。


きっと引き続き、父は天国から私を見張ってる!
いや、間違えました!
ずっと見守ってくれているに違いありませんから、
私も頑張って進んでいこうと思います^^



とても長い文章になってしまいました。
最後まで読んで下さって、ありがとうございます。


レッスンに通っていただいていた生徒さんや、
ブログを読んでいただいてる方からも、
私のブログ記事を読んでお見舞いメッセージをいただいていたので、
私事なんですが、ここに書かせていただきました。


長くなったのに、スミマセン!
最後にお饅頭の写真。







名古屋の「納屋橋饅頭」。
このお饅頭、名古屋で中学まで育った母の大好物なんです。


父はほぼ毎日の様に、家族に何かしらお土産を買ってきてくれる人で、
名古屋出張の時は、必ずこのお饅頭がお土産でした。


そんな思い出のあるお饅頭を、
お悔やみに上京してくれた大阪の従姉妹が、
わざわざ名古屋で途中下車して買ってきてくれました。


久し振りに食べた「納屋橋饅頭」は、
どこも何も変わっていなくて、昔のままに美味しくて、
懐かしさと涙で一杯になりながら、母と食べました。